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平出 哲也; O'Rourke, B. E.*; 小林 慶規*
Journal of Physics; Conference Series, 791(1), p.012029_1 - 012029_4, 2017/02
被引用回数:2 パーセンタイル:62.67(Physics, Multidisciplinary)イオン液体である、N,N,N-trimethyl-N-propylammonium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide (TMPA-TFSI)について、産総研に整備された垂直型の低速陽電子ビームを用いて、液面近傍における陽電子消滅率の測定を試みた。イオン液体の蒸気圧は非常に小さく、真空容器内にそのままイオン液体を配置することで、液面表面近傍の陽電子消滅率の測定を行うことが可能である。本測定は、イオン液体表面近傍における最初の陽電子消滅率の測定となる。その結果、三重項ポジトロニウムの消滅率が表面に近いほど大きくなることが分かった。
武田 裕介; 飯田 清*; 佐東 信司*; 松尾 忠利*; 長嶋 泰之*; 大久保 成彰; 近藤 啓悦; 平出 哲也
Journal of Physics; Conference Series, 791(1), p.012022_1 - 012022_4, 2017/02
被引用回数:1 パーセンタイル:42.05(Physics, Multidisciplinary)ゴルフクラブや、航空機用構造材料等に広く用いられているチタン合金は、表面を窒化処理することで硬さを飛躍的に増すことが知られているが、熱処理温度または時間によっては表面に形成された窒化層が負荷により簡単に剥離してしまい、実用性に欠く場合がある。そこでわれわれは2つの窒化条件、(1)810C 600minと(2) 850C 720minで処理した試料を準備し、その表面に形成された窒化層を、陽電子消滅線ドップラー広がり(DB)測定で評価した。窒素の拡散のみ考慮して評価すると0.05-0.1mまで窒化されると予想されるが、DBによる評価では窒化によって導入される欠陥層は0.5mを超える領域まで達していることがわかった。
兵頭 俊夫*; 和田 健*; 望月 出海*; 木村 正雄*; 峠 暢一*; 設楽 哲夫*; 深谷 有喜; 前川 雅樹*; 河裾 厚男*; 飯田 進平*; et al.
Journal of Physics; Conference Series, 791(1), p.012003_1 - 012003_8, 2017/02
被引用回数:3 パーセンタイル:74.29(Physics, Multidisciplinary)本論文では、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所(IMSS)低速陽電子実験施設(SPF)で得られた最近の成果を報告する。全反射高速陽電子回折(TRHEPD)実験では、ルチル型TiO(110)()表面、Cu(111)およびCo(0001)基板上のグラフェン、Al(111)基板上のゲルマネンの構造を明らかにした。ポジトロニウム負イオン(Ps)ステーションでは、Psの共鳴状態の観測に成功した。ポジトロニウム飛行時間測定(Ps-TOF)ステーションでは、ポジトロニウムの生成効率の増大とポジトロニウム生成・放出過程におけるエネルギー損失を観測した。陽電子ビームラインにパルスストレッチングセクションが導入され、陽電子ビームのパルス幅が1.2sから20msまで可変になった。
深谷 有喜
no journal, ,
全反射高速陽電子回折(TRHEPD)は、物質表面で起こる陽電子の全反射を利用した表面敏感な構造解析手法である。陽電子は電子とは逆のプラスの電荷をもつため、陽電子に対するすべての結晶ポテンシャルはプラスの値をとる。したがって、スネルの法則により、陽電子に対する屈折率は1以下となる。このことは、低視射角で入射した陽電子ビームは物質表面で全反射を起こすことを意味する。全反射条件下では、陽電子の物質中への侵入深さは1原子層分に相当するため、主に最表面層の情報のみを得ることができる。全反射の臨界角を少し超えた入射条件では、最表面層直下の情報も得ることができる。したがって、TRHEPD法では、バルクの影響なしに最表面とその直下の構造を精度よく決定できるため、基板上に保持されたグラフェンなどの二次元原子層物質の構造決定に非常に有用である。講演では、本手法の詳細と、金属基板上に作製したグラフェンの構造決定およびインターカレーションによるグラフェンと金属基板界面の構造変化について報告する。